インドの世界遺産の1つである「ファテープル・シークリー」。
ファテープル・シークリーは別名「幻の都」とも呼ばれ、歴史が残るロマンチックな世界遺産です。
今日は、ファテープル・シークリーの行き方・歴史・見どころ、「幻の都」と呼ばれる理由を書いていきます。
Contents
ファテープル・シークリーの場所と行き方は?
ファテープル・シークリーは北インドのアグラという街の近郊にあります。
アグラといえばタージマハルがある街として有名ですね。そのアグラの街から南西に約40㎞離れた場所にあります。
地図で見てみると観光の定番都市である、アグラとジャイプールのちょうど真ん中くらいのところに位置しています。
アグラ・ジャイプールの2つの都市を観光する日程であれば、都市間の移動のときに立ち寄るのが効率的と思います。
アグラ市街地からのファテープル・シークリーまでの行き方は、下記のとおり車を使うのが良いでしょう。
- アグラの「イードガーバススタンド」からバスに乗る
- オートリキシャ(インド版タクシー)に乗る
アグラ市街地からファテープル・シークリーまでは車で約1時間程度です。
ファテープル・シークリーの城は丘の上にあるので、遺跡の入口に到着すると、そこからさらに10分程かけて専用のシャトルバスに乗って遺跡へと向かいます。
ファテープル・シークリーの歴史
ファテープル・シークリーが建設された理由は?
ファテープル・シークリーは、ムガル帝国(昔、北インドにあったイスラーム国家)第3代皇帝アクバルによって1574年に築かれた都です。
皇帝アクバルは妃との間になかなか世継ぎに恵まれなかったことを悩み、当時ファテープル・シークリーがあった場所に住んでいた占い師に世継ぎの問題を相談します。
すると、その占い師から3人の子供を授かるだろうと預言をうけ、そのとおりに皇帝アクバルは3人の息子を授かりました。
皇帝アクバルは子供を授かった喜びから都を移し、その都市を「ファテープル・シークリー」と名付けました。
これがファテープル・シークリーが建設された理由です。
かつては「勝利の都」と呼ばれていた
「ファテープル・シークリー」という名前には、日本語に訳すと「勝利の都・シークリー」という意味があります。(「シークリー」は元々の土地の名前)
当時の皇帝アクバルはインド中に勢力を伸ばし、絶大な権力を持っていました。
そして、シークリーに遷都する前にアクバルが戦いに勝ってグジャラート地方の制圧に成功します。
その戦いの勝利を記念して、シークリーの土地を「勝利の都」と名付けたとされています。
ファテープル・シークリーが「幻の都」となってしまった理由
昔は「勝利の都」とされていたファテープル・シークリーですが、現在の呼び名は「幻の都」とも呼ばれています。
なぜ「幻の都」になってしまったかというと・・・
絶大な力を持つ皇帝アクバルがこだわりぬいて築いた都であるにもかかわらず、ファテープル・シークリーはたった14年で放棄されてしまったからです。
アクバルが短期間でファテープル・シークリーを放棄した理由は、あまりの暑さと水不足のためと言われています。
たしかに私が行った時もファテープル・シークリーの暑さは異常でした。アグラの街全体が暑い気候なのですが、ファテープル・シークリーは特に蒸し暑かったです。
このようにして、あまりにも短い期間で遷都されゴーストタウンとなってしまったため、今でも保存状態が良いまま残っているのだそうです。
ファテープル・シークリーの見どころは?
ファテープル・シークリーは大きく「宮廷地区」と「モスク地区」に分かれていて、観光客に人気の見どころは「宮廷地区」に多く集まっています。今日は絶対に観ていただきたい2つのスポットをご紹介します。
パーンチ・マハル
ヒンディー語で「パーンチ」は「5」、「マハル」は「宮殿」という意味があります。
その名前のとおり5階建てになっていて、皇帝アクバルが娯楽のために過ごすことに使った建物とされています。

パーンチ・マハルは風通しを良くするために壁がなく、階が上がるごとにフロアが小さくなるように工夫して設計されています。さすが暑い気候のファテープル・シークリーならではの特徴ですね。
パーンチ・マハルの前には大きい広場があるのですが、その広場の地面が格子状になっていて、なんと皇帝アクバルが女性たちをチェスの駒に見立てた娯楽を楽しんでいた(!)という説もあります。
ディーワーニ・カース
皇帝アクバルへの謁見の場であるディーワーニ・カースという建物。
建物内部は赤色の石造りなのに、複雑に模様が彫られ、木彫りのようにも見えます。
この彫られた模様の細かさが観光客には人気で、ファテープル・シークリーの最大の見どころでもあります。
写真ではあまり伝わらないかもしれませんが、実際に見ると模様の細かさに圧倒されます。
そして、上の写真は建物の柱なのですが皇帝アクバルの王座は中央の柱の上にありました。
そのため謁見時にはすべての人が皇帝を見上げる姿勢をとらざるを得ない造りであったことが、当時の皇帝の絶大な力を象徴しています。
ファテープル・シークリー散策の注意
ファテープル・シークリーの敷地は、「モスク地区」と「宮廷地区」に分かれていて、少し注意が必要です。
宮廷地区は有料ですが、モスク地区は無料で入ることができます。
何も知らない観光客を騙して、モスク地区でもお金を払うように要求する詐欺が発生しているようです。
インド旅行全般に言えることですが、安い値段で声をかけてくるガイドなどに騙されて無駄なお金を使うことがないよう、十分注意しましょう!
まとめ
ファテープル・シークリーは、広大な敷地に建物が散らばっています。
幻の都というだけあって、昔の建物なのに綺麗な状態で残っていることに感動します。ファテープル・シークリーが築かれて、放棄されてしまったエピソードを調べてから観光したら、敷地全体がとてもロマンチックなものに思えてきてさらに感動しました。
そして宮廷地区は静かで落ち着いた場所ですが、皇帝アクバルのこだわりが詰まっているので、2時間くらい散策してもあっという間に時間がたってしまうと思います。
アグラに行く方は足を延ばしてファテープル・シークリーに遊びに行ってみてください!